2007年07月17日

信仰対象は家畜じゃない



 なかなか、難しい議論です。


 まずは、予備知識。
 
 日本での、牛結核とは?

「結核病(法定伝染病)」
「乳用牛の結核発生は激減しましたが、法的規制がない肉用牛にときおり集団発生が見られます」
人獣共通伝染病です」
「乳用牛および牛乳を介して人への感染はほとんど起こり得ないものと思われます」
「肉用牛の結核発生は乳用牛の結核防疫対策上、留意すべき点です」
「予防法では牛、山羊、水牛、シカが対象ですが、人にも感染します」
「家畜は定期的な検査および淘汰による防疫を行っているため、治療は行われません

 (参考 狂犬病

 日本でも、家畜に対する予防は行ってないようです(検査はあくまで検査)。
 しかも、発見したら治療をせずに、淘汰(治療せずに殺処分)することとなっています。


 法定伝染病なので法律で決まっているということですね。
 (ちなみに、予防注射のBCGは「牛結核菌」の毒性を弱めたものです)

 
 たぶん、英国でもほぼ同様の内容と思われますので、これに沿って、話を進めます(日本でも、起こり得ることですしね)。
 

 家畜に対しての予防注射も治療も存在しないことが、一番の問題だと思います。


 なぜ、治療が行われていないんでしょう?

 「現在、実用的なワクチンはなく、化学療法も困難である。結核発生群については定期的なツベルクリン検査を実施し、陽性牛の早期摘発と淘汰が防疫上重要である」

(参考 動衛研:家畜の監視伝染病 −11 結核病

 わかりやすく言うと、「治しようがないから、さっさと見つけて皆殺し」です^^;
 これが事実とするならば、殺処分しか方法がないようですね。



 ここで、ウェールズのカーディフ高等法院の判断基準を見てみましょう。 


「殺処分が感染を防ぐ唯一の方法である証拠がない」
「牛結核の人間への感染リスクは非常に低い上、感染した場合でも抗生物質で治療可能であり、ほかの動物への感染も隔離することで防げる」

 ここが重要だと思います。
 基本的に、牛に対する法律は、肉用牛、乳用牛、あるいは種牛などの家畜牛しか想定してないんです。
 (リスクが非常に低いとしても)人間に感染する危険を冒してまで、治らない病気の家畜を「隔離」して、育てる意味がない^^;

 ところが、信仰の対象としてなら「隔離」が可能なんです。
 そのまま、安らかに(?)死ぬのを見守ることができます。

 信仰の対象としての牛というのは、規定外の存在なのかもしれません。


「『ヒンズー教徒の権利を著しく侵害する』ことを考慮し殺処分以外の対策を採るよう議会政府に求めた」
 
 結局、すべては議会政府側が信仰の対象としての牛を特別なものとして、許容できるか否かにかかってきます。

 いや、いっそのこと法律に「隔離の方法」とか、細かいことを盛り込んでしまうしか方法がないのかもしれませんね。
 特例を作るより、そちらのほうが後々問題が起こらないと思います。


 ほかの人から見たら「ただの家畜」が特定の宗教の「信仰対象」である場合、既存の「家畜に関する法律」だけでは、対処しきれないということなのでしょう。

 国家自体が、グローバルな存在になりつつある今、「国内法」もいろんなことを盛り込んでいかないといけないのかもしれませんね…。




 ところで、「鶏」を信仰する宗教とかないんですかね?
 あったら、「鳥インフルエンザ」で何万匹を殺処分なんてことも、簡単に出来なくなるかも…^^;
posted by コーダイ at 19:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 英国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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